Chupki(チュプキ)というのは、アイヌ語で
月や木洩れ日などの自然の光を、意味するのだそうです。
そんな、優しい木洩れ日のような映画館に行ってきました。
目の不自由な人だけではなく、耳の不自由な人、車いすの人たちにも楽しんでもらおうと
視覚障がい者の映画鑑賞をサポートしてきたボランティア団体が母体となって
一年前にオープンした「夢の映画館」。
映画館のドアを入ってすぐの壁に聳えるチュプキの樹には、500名を超える支援者たちの
名前が書かれた葉っぱが、天井まで茂っています。
座席数20という、ちいさな小さな映画館ですが
森の中をイメージしたという館内は、まるで自然の中にいるような不思議な空間です。
担当の平塚さんから電話をいただいたのは、ほんの1か月ほど前のことでした。
以前、どこかで「ありがとうの物語」を、観て、上映したいと思ってくれていたとのこと。
イヤホン音声ガイドや、字幕スーパーを、付けて上映してくださるとのことでした。
上映期間は2週間。
最終日になって、やっと伺うことが出来ました。
久しぶりの映画館での上映でした。
いつもと違っていたのは、画面に、セリフだけでなく、全てのナレーションが
きれいな字幕で流れます。桑山さんの歌詞も♪の、マークとともに流れています。
目の不自由な方は、イヤホンを耳に、音声を、手元で調整しています。
ゆったりと、すわり心地のいい柔らかな椅子にもたれていると
映画を創ろうと思った、10数年前の事が昨日のことのように蘇ってきました。
何度も何十回も見た、懐かしい映像と、桑山さんの透き通った歌声
逆境の中でいきいきと生きている、リエム、メリージェーン、アリッサ、
ガザの子どもたち・・・
最後に、ご協力いただいたたくさんの方々のお名前が、ロールテロップで流れると
やっぱり・・・泣けてきました。
監督は、映画をきっかけに、まるで現役の大学生のように、世界の歴史について
膨大な書物を読み、勉強するようになりました。
「今の知識があれば、もう少し違った伝え方が出来たかもしれない」と、悔しそうでした。
桑山さんの医師としての拠点は、映画製作当時の山形・上山病院から、仙台~海老名と
移りましたが、あの頃と同じように
いえ、あの頃以上にエネルギッシュに、海外での医療活動、精神科の医師、
そして、「地球のステージ」を続けています。
今も、ギターと聴診器を手に、世界中を飛び回っています。
小さかったお子さんたちは、大学生になりました。
「地球のステージ」を、ずっと支えてこられた、いわば桑山さんのもう一人の「父」
ともいえる飯野さんが、監督が映画製作の相談に伺ったとき
監督の手をぐっと握って、
「ありがたいです。これで、桑山さんがもし、歌えなくなる時がきても、彼の活動を、
地球のステージをずっとずっと、伝えていくことが出来ます!残すことが出来ます。
ありがとう!ほんとにありがとう!」と、
NHK朝ドラ「ひよっこ」もぶったまげる、イバラギなまりで、喜んでくれたことを
思い出しました。
飯野さんの心配は、まだまだ先の事になりそうです。
Mr.Children 桜井さんは
「大切な出会いが多ければ多いほど、人の心は豊かになっていく」と、語っています。
たくさんの神様のような人たちとの出会いを与えてくれた映画
「地球のステージ ありがとうの物語」
それを、考え続けることが、私たちに課せられた使命だと思っています。
yuki