ウェブサイトを開くと毎回、同じ広告が表示されるー。

そんな経験は最近のネットユーザーには、誰にでもあることかと思います。

自分が検索したキーワードやそれに関連した商品などが、

どのウェブサイトにいってもストーカーのようについてきて、繰り返し表示されます。

これは「行動ターゲディング広告」と言われる仕組みで、ユーザーが閲覧しているページや

検索キーワードの履歴から、関心の高い広告を表示するようになっているようです。

 

さて、ここ数か月、私が開くウェブサイトには、

「墓」「葬儀」「散骨」「墓じまい」「改葬」「手元供養」「樹木葬」「宇宙葬」…と、

何ともドキっとする広告ばかりが表示されます。

 

それもそのはずです。

実は現在、わが社では「お墓」に関する番組を制作中。

時代や社会の変化と共に様々な形に姿を変えている「現代のお墓事情」を追いかけています。

 

私はその情報収集や映像資料の収集など、リサーチ担当(兼、その他いろいろ)をさせて頂いているので、

私のパソコンはすっかりその気になり、

私にいい「お墓」やおススメの「葬儀」を提供しようと様々な広告を出してきます。

 

もともと関心のあるテーマではあったものの、

改めて調べてみると現代のお墓や葬儀の多様なスタイルに驚かされます。

葬儀は、家族と本当に親しい人たちだけが最後の別れをする「家族葬」のようなシンプルなスタイルだけでなく

「直送」と言われる、葬儀を行わずに火葬だけで見送るというスタイルも出てきています。

また、家族墓と言われる先祖代々のお墓の姿も変わってきています。

お墓もいらない、遺骨もいらない、というような考え方も珍しくなく、

海へ遺骨を撒く、さらには宇宙空間に散骨する、というようなスタイルまであるのです。

「墓」という一つの検索ワードから、

現代の家族の在り方の変化、社会の変化、そして私たち個人の死生観の変化も垣間見えます。

 

調べれば調べるほど、知らなかった情報が出てきて、興味が広がります。

そして、興味があることがわかると、パソコンもさらに新しい情報を提供してくれます。

いつもは「また出てきた!」とうるさく感じる「行動ターゲティング広告」も、

実は知らない情報をピックアップし提供してくれる裏のリサーチャーだったりもします。

 

放送大学の授業番組でも、担当になった科目に関係する情報には、

自分のアンテナがピピッと反応するようになりますが、今回の番組制作も同じです。

 

電車の中吊り広告や雑誌の広告、テレビCMでも、「墓」「葬儀」というキーワードに敏感になり、

つい目がいきます。

家族・友人と会えばいつのまにか「最近の墓事情」を話題にし、取材交じりの検索を進めてしまう始末…。

自分の中の検索モードが常にONになっているのです。

そして同時に、映像制作にとって重要な「調べる」というプロセスを楽しんでいます。

 

しかし、調べても、調べても、わからないことも多いテーマ「墓」…

それは、「墓」が単なる石ではなく、私たち人間の歴史や文化、そして大切な人への想い、

これからの家族への想いなど、様々なことがこめられた「目に見える心」のようなものであるからかもしれません。

 

桜葬


興味はあっても、自分にはまだまだ関係のない話―。 

墓に関してはそんな風に思っていました。

しかし、色々と調べていくうちに、自分の家族の墓について、

そしてその墓に関係する家族や親戚について、

色々と考えさせられました。

やはり代々続いた墓を引き継いでいくべきか、

でも現実的にそれは本当に可能なのか、それとも違う形の墓がいいのか…。

現代社会は、自分たちの意思や家族の想いにできるだけ寄り添って、死んだ後のことを選択できる時代になったのかもしれません。

それでもまだ、明確な答えは見えてきません。

 

社会が大きく変わっていく中で、私たちの「墓」はどこに向かっていくのでしょうかー。

 

■まもなくこの、悩ましき「墓」をめぐる番組について、このHPでお知らせできると思います。

どうぞお楽しみに!

chiba