先日、ちきゅうを探検してきました。

と言っても、アマゾンの奥地とかサハラ砂漠とかに
行ってきたわけではありません。
 

NHK「探検バクモン」という番組の取材で、
その名も「ちきゅう」という船に乗船したのです。
 

この「ちきゅう」、なかなか大仰な(と言ったら失礼ですが)
名前を持つだけあって、けっこうスゴイ船なんです。

海洋研究開発機構(JAMSTEC)という国の機関が所有する
「地球深部探査船」なのですが、世界の科学船で唯一、
海面下1万メートルの地層まで掘り進む能力を備えているんだそうです。
 

…皆さん、ご存知でしたか?

僕は、恥ずかしながら今回の取材までよく知りませんでした。


ですが横浜港で、初めて眼前にその姿を見たとき、
この船はただものではない、と感じました。

chikyuu

 

なにしろ、全長210メートルの船の中央部に、
高さ約120メートルのやぐらが聳え立っているのです。

なんじゃこりゃ、て感じです。
 

そして、
このやぐらこそが、はるか海底下まで長大なドリルを刺し込んで
地層を掘り進むための、最大のカギということなのですが…
 

という訳で、僕も、ロケの際、実際に上らせてもらいました。
 

実は、事前の取材の時には、強風などの悪条件で、
一度も上れていなかったのです。

ですが、心配されたロケ本番はお天気に恵まれ、
無事、やぐらの上からの撮影を敢行することができました!
 

…それはとてもありがたかったのですが、
いざ、空中むき出しの業務用エレベーターで上まで上ってみると、、、
 

床の網目のはるか下に透けて見える、甲板と海面。

微妙に低い手すり。

お天気とは言え、けっこう吹きつけてくる海風。
 

自分は高所恐怖症ではなかったはずですが、ずっとへっぴり腰で、
手すりをしっかりつかみながら進んでいたことを白状いたします。
 

そんなやぐらの上の中央部にあったのが、巨大な滑車の装置。

これによって、はるか数千メートルの海底まで下ろしたパイプが、
波風で上下動するのを防いでいるのだそうです。
 

なにしろ、海面から数千メートル下の目標地点に
パイプを下ろすというのは、言わば、
高層ビルの上から、地上に置いた針の穴に糸を垂らして通すようなもの。

しかも、目に見えない海流を読んでの作業ですから
掘削作業にあたる方々のスゴ腕には脱帽です。

 

そんな職人技と先端技術の結晶とも言えるのが、
はるか海底下から掘り出された「コア」。

この「コア」には、巨大地震や海底下の生態系など、
地球の謎や不思議を解くヒントがいっぱい詰まっています。

そして、これまでに「ちきゅう」は、
数々の画期的な発見を成し遂げてきました。
 

しかし、世界最先端の「ちきゅう」をもってしても、
掘り進めたのは、地球全体の深さ(厚さ)からしたら、
ほんの僅かに過ぎないのです。

 

人類はかくも微力で、地球はかくも未知なる事柄で満ちている…

 

それでも、科学者たちは、新たに湧き出る謎の解明を目指して、
今日も努力を続けています。

 

そこにあるのは、未知なることを知りたい!という、
人間の持つ純粋な好奇心。

 

自然の偉大さとともに、人間の無限の可能性も感じることのできた
「ちきゅう」探検でした。

 

NHK『探検バクモン』「ちきゅうと地球のヒミツ」は、
2月17日(水)夜10時55分からの放送です。

よろしかったら、ぜひご覧くださいね。

 
kawai